“汚れを知ると、洗い方は変わる。” オールバーズ「シューズケアイベント」レポート
2026年4月下旬。
オールバーズ丸の内店にて、シューズケアイベントが行われました。
スニーカー洗濯ワークショップを担当させていただいたのは、がんこ本舗代表のきむちんと、まさお社長、スタッフさとの3名。
「どうすれば参加者のみなさんに伝わるのか?」を考え、
何度も洗って、何度も失敗して、ワークショップのプログラムを作っていきました。

■まずは、実際に洗ってみる
ワークショップの最初に行ったのは、がんこ本舗の洗剤『海へ…®』を使った実演です。

まずは、実際にオールバーズのスニーカーへ醤油を10mL垂らして、検証開始。
洗浄液の入ったバケツの中で、スニーカーをゆらゆらと動かしていく。
すると、醤油が少しずつ洗浄水へ移動していき、水が茶色く変化していきました。

一般的には、「洗剤が汚れを落とす」と思われがちです。
でも実際には、水が繊維の間をくぐることで、はじめて洗剤の力が生かされます。
つまり、汚れを移動させているのは、水の流れでもあるのです。
だから、洗濯には必ずしも強い水流だけが必要、というわけではありません。
生地を傷めたくない場合は、浸け置きも有効です。
水の中でゆっくり時間をかけることで、繊維が膨らみ、中に入っていた汚れが、水側へ移動しやすくなります。
今回のバケツ実験では、そんな“「洗う」の構造 ”も、実際に見ていただきました。
■汚れには「種類」がある
今回のワークショップ準備をしていて、改めて感じたことがあります。
それは、「そもそも、汚れって何だろう?」ということ。
そこで今回は、がんこ本舗の豆本に掲載している内容をもとに、汚れの種類をまとめたパネルも制作しました。
汚れは大きく、4種類に分けて考えることができます。

- 水溶性
- 油溶性
- 不溶性
- 特殊汚れ
汚れの性質によって、それぞれ落とし方が違います。
■汚れを落とすとは、「移動させる」こと
例えば、醤油や汗などの水溶性汚れ。
これは、水へ移動させることで落としていきます。
一方で、オリーブオイルのような油汚れは、水だけでは動きません。
そこで、まず洗剤原液を直接なじませて、油をゆるめる。
オイルクレンジングのようなイメージです。そのあとで、水の中へ移動させていきます。
また、泥や土などの不溶性汚れは、そもそも水にも油にもなじみません。
つまり、物理的に移動させる必要があります。
ワインやコーヒーのような色素を含む汚れは、特殊汚れの一種です。
水溶性の性質を持ちながら、繊維に染着しているので、別の対処が必要になります。
つまり
汚れを落とすとは、「消す」というより、「移動させる」こと。
そんな見方も、今回のワークショップで共有しました。
■一番多いのは、「泥汚れ」
スニーカーで特に多いのが、泥や土の汚れです。
今回も、きむちんが実際にデモを行い、そのあと参加者のみなさんと一緒に洗ってみました。
まず大事なのは、乾かすこと。
泥は、濡れた状態でこすると、繊維の奥へ押し込まれてしまいます。
そのため、この順番が大切です。
- 乾燥
- 歯ブラシなどで叩き落とす
- 洗う

泥染めという染色方法があるように、泥もまた、繊維を染めてしまう性質があります。
そのため、洗剤だけでは簡単に落ちないことも、実際に観察することができました。
■複合汚れという考え方
また、実際の汚れは、ひとつの性質だけではないこともあります。
例えば、パスタソースのような汚れ。油、色素、水溶性成分など、複数の要素が混ざっています。
「汚れ」と一言で言っても、実はかなり複雑です。
だからこそ、汚れの特徴を観察しながら、順番や対処法を考えることが大切になります。
■ワインや墨汁は、とにかくスピード
ワインや墨汁など、色素の強い汚れは、時間との勝負です。
まずは、キッチンペーパーなどで押さえて、汚れと水分を紙へ移動させる。
そのあと、『シャチッとスプレー』を使用します。
シャチッとスプレーは、中性タイプの酸素系漂白剤。

汚れにピンポイントで使えるため、部分汚れに向いています。
スプレーしたあと、布をゆらゆらと揺らして、液を浸透させる。
20分ほど置いてから、洗浄液で洗うのが理想です。
一度で落ちなくても、繰り返し行うことで、結果が変わることもあります。
逆に、ゴシゴシ強くこするのは、生地を傷める原因になるため、避けたい方法です。
■汚れにも、「ステージ」がある
今回、もう一つ共有したかったのが、汚れにも段階があるという考え方です。
- 軽い汚れ
- 固着した汚れ
- 繊維へ染着した汚れ
どんな汚れも、早い段階で対処できれば、少ない負担で落とせることがあります。
だからこそ、汚れたらなるべく早くお手入れすることが大切です。

■素材によっても変わる
また、素材によっても、汚れ方や落ち方は変わります。
例えば、オールバーズの「ウールランナー」はニュージーランドの上質なメリノウールが使われています。

ウールの表面はうろこ状になっていて、その構造上、水滴をはじきやすいため、汚れが内部へ浸透しづらい素材です。
逆に、汚れが入り込みやすい素材もあります。
つまり、「何を洗うのか」を知ることも、お手入れではとても大切です。
■「お手入れ」は、向き合う時間
今回改めて感じたのは、お手入れとは、単に汚れを落とす作業ではない、ということ。
- どんな汚れなのか。
- どんな素材なのか。
- どうすれば長く使えるのか。
そんなことを考えながら、好きなものと向き合う時間。
それが、とても豊かな時間に感じられました。
がんこ本舗は、これからも「洗う」という行為を通して、暮らしとの向き合い方を考えていきたいと思います。
GANKO HOMPO / dochaku